人狼ゲームに学ぶ、想定外な状況での生死の分かれ目

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人狼ゲームに学ぶ、想定外な状況での生死の分かれ目
photo credit: Five Furlongs via photopin cc

少し前ですが、ヘトヘトに疲れていたので、一休みしようと思ってベッドに横たわっていました。何気なくリモコンで、テレビを付けると9人がテーブルを囲み「人狼」という役職を探す、議論をしています。

その番組のゲームルールによると、人狼と市民がいて昼と夜のターンがあり、昼のターンには、市民の中に紛れている人狼を探し出す議論をし、最後の多数決で人狼だと思う人を決め追放し、夜のターンには、人狼が市民を一人追放していきます。

9人の中に人狼は2人、お互いが誰が人狼なのか知っています。市民は誰が市民で人狼なのか知りません。昼と夜のターンを繰り返し、最後に人狼か市民がどちらが残るかで勝敗が決まるというものでした。市民の中には、騎士と占い師の特殊能力をもつ役職もありました。

そこで初めて私は、人狼ゲームを知り、議論の中に繰り広げられる心理戦に興味をそそられました。

如何にして、人を騙すのか、信用を得ようとするのか、議論を通して9人の小さなグループの中で、一人一人の人間性が映し出されているようでした。(その番組は、『人狼~嘘つきは誰だ?~ – フジテレビ』です。)

それから、2ヶ月経ち、近所の書店によったとき偶然「人狼ゲーム」という小説を見つけ、タイトルに引かれるように手に取り、すぐ購入してしまいました。小説の中では、テレビ番組とはまた違う登場人物の心理描写があり楽しめたので、その中で感じたものがいくつかあったのでまず1つ紹介します。

人狼ゲームのルール

人狼ゲームとは、何か分からない人はまず、ルールから確認してみてください。あなたも興味をそそられるかもしれませんよ。

ウィキペディアで基本ルールから特殊な能力をもった役職まで多く紹介されていますので、参照してみてください。小説「人狼ゲーム」では、人狼と村人に別れ、特殊な能力をもつ役職は、予言者だけです。小説では、多数決で、票の多い人は、吊るされ、夜のターンは人狼に殺される設定になっています。

状況を飲み込み適応する

小説「人狼ゲーム」の主人公である仁科愛梨は、突然、謎の女と男に誘拐されます。目が覚めると椅子に座ったまま見知らぬ部屋に、喉もとには、見に覚えのない硬い金属が首に巻き付いていることに気づきます。あたりを見まわすと驚きと不安の入り交じった表情を浮かべている男女が9人、中には見覚えのある人もいることに気づきます。

『皆さんこんにちは』

『皆さんにはこれから人狼ゲームと呼ばれるゲームをプレイしていただきます。拒否権はありません。これは、特別な方々を楽しませるためのショーです。この場で起きるすべての出来事は撮影され、中継されています』

天井にぶら下がるスピーカーから音声が流れ、ビデオカメラがこちらを向いています。説明を聞いていくと人狼ゲームのルールに基づいた殺しあいをさせようとしているみたいです。助けを呼ぼうにも携帯電話は、圏外で連絡手段もありません。

状況を飲み込む

急に、誘拐され殺し合いのゲームをしろと言われて、すんなりと理解できるわけがありません。私がこの状況に身をおいていたら、不安と恐怖と反発心で頭の中は掻き乱され顔面は蒼白になり、頭の先から爪先まで震えながら「ざけんなっ!いいかげんにしろ」と震えた声で叫んでいることでしょう。

しかし、そんな相手のことはお構いなしで、たんたんとスピーカーからルール説明は続きます。もはや逃げ道はないのです。状況を少しずつ飲み込みはじめたメンバーは、「人狼ゲーム」を理解しようとしだします。生きて帰るにはゲームに勝つしかないのです。

状況を飲み込めなかったら

ところが、こんなむちゃくちゃな状況ですから把握できない人もでてきます。決して逃げることができないのに理解できないのです。今起こってる状況を受け入れることができなかったらどうなってしまうのでしょうか?

メンバーの中に愛梨の同級生、猪瀬尚子がいます。彼女はまったくこの状況を受け入れることができません。どこかもわからないこの部屋から帰ろうと席を立ちます。もちろん帰れません。説明を最後まで聞かないで、ルール違反を犯します。彼女は金属の首輪によって裁きを受けることになります。

適応力によって生まれるチャンス

想定外の状況に置かれたとき、どう判断するかで生と死が分かれます。そこで適応できたとしても決して生きて帰る道を獲得したわけではないですが、生きて帰る道に続くチャンスを得ることができます。

猪瀬尚子は「人狼ゲーム」に参加させられる前に、不幸の事件がありそれが心理状態に影響を与え、感情的な判断しかできなっくなっていたのかもしれません。感情にとらわれず考えることができたら一命を取り留めたのかもしれないですね。